冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
 教室では女生徒も男子生徒も遠巻きに見ている。レティシアはここでも孤独を味わうことになった。貴族の子弟は皆きちんと教育を受けてこの学校に入るので、ほとんどが「C」クラス以上なのだそうだ。ちなみにこの学校で「F」クラスに入れられた貴族はレティシアひとりで。学園始まって以来の珍事。
 
 だが、そのことに関してリーンハルトが、「いい晒し者だ」とか文句をつけてきたり、怒ってきたりすることはなく。カフェテラスでときおり遭遇すると気の毒そうな心配そうな何とも複雑な視線を送ってくる。
 

 しかし、「F」クラスといえど授業は家庭教師のようにレティシアに合わせてくれるわけではないから、進みが早くて苦労した。
 教養の成績は三回目の時を過ごしているのにも拘わらずひどい成績だったが、辛うじて実習の成績は良く、放校にはならずに済んでいる状態だ。


 ♢

 暖かな日のあたるカフェテラスでレティシアがランチを食べているとリーンハルトが現れた。いつもは友達に囲まれていて声をかけにくいけれど今日は一人だ。
 レティシアはすかさず彼に近づく。

「リーンハルト、お話があります」
「俺にはないけれど」

 また、このやりとり、彼は無駄だと思わないのだろうか? レティシアは構わず義弟の向かい側に腰を下ろす。

「あのね。全然、勉強がわからないの。教えてくれない?」
「俺の勉強時間を削って?」」
「そう、ほんの少しだけ削って、勉強を教えてくれないかしら」
「断る」

 それで会話は終了した。彼は今上級生だ。他の子供よりも優秀だった彼は入学が一年早く、そのうえ、スキップしているので二学年上だ。もしかしたらと思ったけれど、けんもほろろに断られた。

 仕方がない、自分で頑張るしかないのだ。

 そんなある日実習でペアを組むことになった。当然Fクラスなので相手は平民だ。これは友達になるチャンスかもしれない。
 しり込みする彼女を学園のサロンに誘う。しかし、返って来た言葉は……

「私、サロンでお茶をのむお金なんてないんです」
「どうして? お金なんてかからないじゃない?」

 レティシアと一緒にいたくないから、こんなことを言うのかと思うと少し悲しくなる。

「それは、あなたの家が貴族でお金持ちだから」
「どういうこと?」

 意味が分からなくて首を傾げた。

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