冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
「貴族はそれなりの税を納めているし、シュミット様のお父様も多額の寄付をしているのよ。そういう生徒だけがタダなんです。だから、私達庶民は自分達で食事を用意します。ここのものは高くてとても手が出ないから」

「……そ、それならば、私が何かごちそうするわ」
「結構です。私は、施しは受けませんし、あなたとは身分が違い過ぎて、お友達だなんて無理です」

 初めて知った事実に打ちのめされ、今更彼らとの壁に気付く。みな、レティシアに気を遣うし、
「シュミット様」と呼ぶ。貴族である彼女は「F」クラスの皆にとても気を遣わせている。
 
 今まで、貴族の家に引き取られて自分がどれほど幸せだったのかなどと考えたこともなかった。それ以来、レティシアのお友達を作る作戦はとん挫した。

 ただひたすら、大人しく勉強に専念した。




 ◇

 入学して二年の月日が過ぎた。レティシアは努力の甲斐があって、三年生になり「D」クラスに上がった。やっとここで貴族の令嬢に出会えた。男爵令嬢マリーナ・レミングスだ。繰り返しの人生でいつも同性には嫌われるから、また嫌われたらどうしようと思っていたが、彼女は気さくですぐに打ち解けた。

「よろしくね。マリーナ」
「こちらこそ、よろしくレティシア」

 貴族の女生徒は二人だけ。後は平民と貴族の男子生徒が三人ほど。上にいけばいくほど、貴族が増えて行く。
 A、Bクラスになると平民はいない。

「ねえ、マリーナ。私、いままでFクラスでずっと疑問に思っていたのだけれど」
「何?」
「いえ、Fクラスでも頭のいい子はいるのに、どうして、彼らは上にいけないの」

 Fクラスで一番勉強が出来たわけではないのに、レティシアは「E」クラス、「D」クラスと上がってきた。これも身分に関係があるのだろうか?

「別にいけないわけではないわ。ただめったにないだけ。つまり魔力量の差ね。貴族と庶民では大きな差があるのよ」
「え? そうだったの?」

 リーンハルトもそれくらい教えてくれればよかったのに。初めて聞く話だ。

「そうよ。魔力は血筋なの。貴族は貴族同士で結ばれるでしょ? それと属性」
「属性?」
「いいわね。私は土属性だけれど。レティシアは光属性なのよね」
「ええ、まあ」

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