冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
 義弟の言う事は尤もだ。ついつい乗せられてしまったが、これからは気を付けよう。マリーナはとても気さくだけれど、何をするにしても交換条件の人だ。リーンハルトに言われた事は今後心しよう。



 
 ◇

 学園のまとまった休暇に家に呼び出された。レティシアは、リーンハルトより、家に帰っていなかったが、とうとうオスカーに呼び出された。

 帰ると執事から、サロンに来客があるから挨拶に来るようにと、父からの伝言を伝えられた。面倒くさいと思ったが、行くしかない。
 
 そこには養父母にミザリー、一足先に帰ったリーンハルトに前回ミザリーの婚約者だったアーネスト・コーエン伯爵がいた。

 なるほど、ミザリーの婚約が決まったから帰って来いと言ったのかと合点がいった。
 レティシアは親切なアーネストが好きだ。前回からときがたち、懐かしさを感じる。彼に丁寧に挨拶すると席に着いた。

 会話の中心はいつもどおりオデットとミザリーで、レティシアは余計な口は挟まず黙っていた。

 これでミザリーが幸せな結婚をしてこの家から出て行ってくれれば、レティシアに殺意を抱くことはないだろう。きっと未婚の義妹など相手にしない。それにこの二年ほとんどミザリーとは顔を合わせていないのだからと、ほっと胸をなでおろす。

 ミザリーには過去ひどい目に合わされてきたが、振り返ってみると自分もそれなりに悪かった。だから、仕方がないと何とか己を納得させる。

 正直、悔しい気持ちはある。彼女は人を殺しておいて、何のお咎めもないのだから。だが、二度も殺された間抜けな自分は多分彼女に復讐すべきではないのだ。
 きっと裏をかかれるに決まっている。

 今回はトレバーがかかわってこないのが、少し寂しい。今世では彼と結婚する未来はないのだろう。随分とあっさり縁が切れるものだ。どうせなら、ミザリーと切れたかった。
 

「レティシア、二人で庭園をまわってくるといい」
「え?」

 父の言葉に顔を上げる。レティシアはトレバーとの回想に浸っていて、心ここにあらずの状態だった。
 アーネストが優しくレティシアにほほえみかける。
 最初は何のことだかわからずきょとんしていたが、だんだんと状況が飲み込めてきた。

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