冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
「私も、しっかりしなくてはと思いまして。あの、お父様お母様、リーンハルト、それにお、お、お姉さま、これからも宜しくお願い致します」

 ミザリーによろしくというのはかなり心理的に抵抗があったがそこは頑張った。みな喜んでくれる。しかし、ミザリーだけが微笑みながらも少し顔をこわばらせていた。

 レティシアはスープを口に運びがらも、ミザリーの様子を注意深く観察する。視線に気が付いた彼女と目が合った。その瞳に、一瞬レティシアに対する嫌悪の色が浮かんだように思う。

「ごめんなさい。ちょっと頭が痛くて。風邪かしら。レティシアを看病していたら移ったのかも」

と困ったように眉尻を下げると食事の席から中座した。
優しい笑顔ではあるが、もうこの時すでにミザリーから嫌われていたのだと確信した。





 ◇

  やはり、レティシアは今回も魔法師学園入学を考え、リーンハルトに相談した。この方法が一番スムーズだ。

 今回は寝坊せず馬車に乗って二人でバートンの元へ適性検査に向かう。それから、詳しく属性についての説明を受けた。

 その後、レティシアは浮かれることなく、家庭教師について貰ってしっかり勉強することにした。入学後のクラス編成の試験に備えて勉強だ。「F」クラス行きは避けたい。

 今回はリーンハルトが助けてくれる。

「姉さん、これを使うといい」
 魔法で使う用語をまとめたノートをくれた。以前は専門用語で苦労したからとても助かる。

「私の為に?」
「いや、俺が以前使っていたものだよ。自分でまとめるのも勉強になるんだ」
 
 正直、彼のアドバイスは助かった。それに彼が随分努力していることを知って驚かされた。

 リーンハルトが協力してくれてたのと前回の貯金のおかげで、レティシアは魔法学園入学時「D」クラスになった。「F」クラス入りはどうにか免れた。


 しかし、「D」クラスにはマリーナ・レミングスがいる。

 なぜ、前回あんなことをしたのか、いつからミザリーと親しくしていたのか聞き出したいが、それが不可能だという事は分かっている。
 いずれにしても彼女がレティシアをよく思っていなかったのは確かだ。

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