冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
「私が二、三か月に一回見回りをする以外は誰も出入りしていないよ」
仕事用のどっしりとしたマホガニーのデスクに座る父は書類から顔を上げて怪訝そうに言う。
「父上は黒魔術について調べているのですか?」
単刀直入に聞く。ありえないだろうが、一つ一つ可能性を潰していこうと思った。
「なぜ、そんなことを私が? 私の属性はお前とほぼ同じだ。保管はしてあるが、あまり気持ちの良いものではないから、手に取ったことはないよ」
オスカーが不思議そうに目を瞬く。
「それなら、他に閉架に出入りしたことのある者はいますか?」
「いや。ああ、そういえば一度魔法師の研究者が来たことがある。それ以外にはないな。市井の魔術師から申し出があってもそれはすべて断っている。家の本が悪用されては困るからね」
もっと最近だ。家にいて自由に出入りできる者。
「それなら、使用人とか……、家族とか」
「どうした。やけにしつこいな。何か気になることでもあるのか?」
「いえ、ただ黒魔術に興味がある者がいるのかと。黒魔術の本を誰かが閲覧しているように感じたので」
オスカーが表情を引き締める。
「そうだな。お前が何を調べているのか知らんが、質問には答えよう。もう随分と昔だが、ここにオデットが嫁いできたころ一度閉架に案内した。彼女は気に入らなかったようだがね。
後は執事のレスターに二、三年に一回掃除や虫干しを頼むこともある。そのさい彼はメイドを連れて行っている。お前も知っての通り魔力を帯びた本はほぼ傷むことはない」
「それで、そのメイドとは誰です?」
「たしか、前回はニーナだったと思うが」
この家のメイドや執事に魔力はないことは、雇う前に念入りに確認されている。別に魔力があってもよいのだが、闇属性持ちは閉架があるので念のため雇い入れていない。呪術を使った場合、魔力のない者よりもはるかに強力な効果を発揮するからだ。
「あとは、ミザリーを子供の頃に一度連れて行ったことがある。もう何年も前のことだ」
意外だった。彼女は魔法に興味はなく、社交的でよく令嬢達を集めて茶会を開いている。
「レティシアは?」
するとオスカーが苦笑する。
仕事用のどっしりとしたマホガニーのデスクに座る父は書類から顔を上げて怪訝そうに言う。
「父上は黒魔術について調べているのですか?」
単刀直入に聞く。ありえないだろうが、一つ一つ可能性を潰していこうと思った。
「なぜ、そんなことを私が? 私の属性はお前とほぼ同じだ。保管はしてあるが、あまり気持ちの良いものではないから、手に取ったことはないよ」
オスカーが不思議そうに目を瞬く。
「それなら、他に閉架に出入りしたことのある者はいますか?」
「いや。ああ、そういえば一度魔法師の研究者が来たことがある。それ以外にはないな。市井の魔術師から申し出があってもそれはすべて断っている。家の本が悪用されては困るからね」
もっと最近だ。家にいて自由に出入りできる者。
「それなら、使用人とか……、家族とか」
「どうした。やけにしつこいな。何か気になることでもあるのか?」
「いえ、ただ黒魔術に興味がある者がいるのかと。黒魔術の本を誰かが閲覧しているように感じたので」
オスカーが表情を引き締める。
「そうだな。お前が何を調べているのか知らんが、質問には答えよう。もう随分と昔だが、ここにオデットが嫁いできたころ一度閉架に案内した。彼女は気に入らなかったようだがね。
後は執事のレスターに二、三年に一回掃除や虫干しを頼むこともある。そのさい彼はメイドを連れて行っている。お前も知っての通り魔力を帯びた本はほぼ傷むことはない」
「それで、そのメイドとは誰です?」
「たしか、前回はニーナだったと思うが」
この家のメイドや執事に魔力はないことは、雇う前に念入りに確認されている。別に魔力があってもよいのだが、闇属性持ちは閉架があるので念のため雇い入れていない。呪術を使った場合、魔力のない者よりもはるかに強力な効果を発揮するからだ。
「あとは、ミザリーを子供の頃に一度連れて行ったことがある。もう何年も前のことだ」
意外だった。彼女は魔法に興味はなく、社交的でよく令嬢達を集めて茶会を開いている。
「レティシアは?」
するとオスカーが苦笑する。