冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
 すると彼は、成績発表ではなく、「学園からのお知らせ」を熱心に見ていた。

「リーンハルト、何を見ているの? 成績見た? あなたまた一番よ」
「ああ、そう」

 凄くあっさりした返事で、なおかつ上の空。珍しい。それとも毎回一番で、それが当然で当たり前のことなのだろうか。

「もう見たの?」
「いいや」

 気のない返事を返す。

「何そんなに熱心に見ているのよ」

 レティシアも覗き込んでみる。それには『討伐隊募集』とあった。最近辺境に魔獣が出るので、魔法使いに召集をかけているらしい。

「リーンハルト、これに行くの?」
「いいや、俺は要件を満たしてないからいけない。アランが志願した」
「え? 大丈夫なの?」
 
 彼の家は母一人子一人のはず。少し心配だ。

「これに参加すると騎士になるのに有利に働くらしい」
「そう、心配ね」

 レティシアが眉尻を下げる。
 魔獣退治はときには死傷者が出ることもある。繰り返しの人生で関心を持ったことなどなかった。彼らがいるから安心してこの国に住めるのに。
 
 王都に魔獣など出たことがなく、まるで異郷の地の出来事のように考えていた。自分でもつくづく視野が狭いと思う。

 アランの無事を祈った。


 ◇◇◇

 リーンハルトは度々学園に訪れるトレバーの様子が気になっていた。レティシアを頻繁に訪ねてくる。
 最初は微笑ましく思っていたが、最近では度が過ぎる。あれでは仲がいいというより、レティシアが信用されていないようだ。まるで監視。鈍い姉はそれに全く気付いていない。
 実際、彼らはうまくいっているのだろうか? 
 
 そこで、リーンハルトは首をふる。例え姉弟でも男女の事に首を突っ込むべきではないと。ましてや自分など婚約者もいない身なのだから。


 ◇◇◇
 

 その日レティシアはいつものようにバートンの実験につきあった。レティシアも魔法を学んでいる身だが、彼が何を調べているのかさっぱり分からない。
だが、今日は彼に質問があった。

「あのバートン先生。質問なんですけれど」
「おや、めずらしいね。私で答えられることならなんでも」
「はい、魔法と関係があることなのか分からないのですけれど。人が何度も人生をやり直すことってあるのですか?」

 するとバートンは驚いたように目を瞬く。

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