冤罪で処刑され、ループする令嬢 ~生き方をかえてもダメ、婚約者をかえてもダメ。さすがにもう死にたくはないんですけど!?
「ねえ、レティシア。今度はどこへ行きたい?」
ふいに声をかけられ顔を上げる。
「え?」
レティシアは今トレバーと馬車の中にいた。二人はデートの帰りだ。今日は公園を散策した後、カフェで茶を飲みゆっくりと食事をした。だが、そんな最中でも近づいてくる死が不安でつい上の空になってしまう。
「私はどこでも」
レティシアの気のない答えにトレバーの顔が曇る。
「あの、トレバー様の行きたいところならばどこへでもご一緒したいです」
慌てて言い添えると、トレバーが微笑んだ。
「そう言ってもらえるのはうれしいけれど、今度はレティシアの行きたい場所にしよう。そうだ。家の領地に一度来ないか?」
「あの、でも遠いから」
「君はいつもそう言って断るね」
トレバーの新緑の瞳が揺れる。彼を悲しませているようで、胸がぎゅっと苦しくなる。
「いえ、あの、卒業の制作が終わってからでいい?」
本当は行きたくない。あの領主館には嫌な思い出がいっぱい詰まっている。彼の浮気の現場を見たのも領主館だし、毒殺未遂の冤罪をかけられたのもあの場所だ。
そこでふと重大なことに気付く、ミザリーがまたトレバーに手を出すのではないのかと。トレバーもそれに乗ってしまうかもしれない。
時を繰り返しているのはレティシアだけだ。今回、彼らの不倫を見ぬふりをすれば殺されないのだろうか。しかし、それではレティシアの心が死んでしまう。やはり今回も何かを間違えた気がしてならない。時が近づくにつれて不安になる。
「レティシア、大丈夫? 気分でも悪いの?」
「ああ、ごめんなさい。ちょっと疲れてて」
「根をつめて勉強し過ぎじゃないかな? レティシアはどうしても働きたいの?」
「え?」
このあいだ、臨時職員として短い時間ならばとブラウン子爵家からも働く許可が出たばかりだ。ブラウン家の義父母は教会の治癒師ならば次期子爵夫人として名誉なことだと喜んでいた。彼らはとても信心深く。今世でレティシアはとても気に入られていた。嫌われ続けてきたブラウン夫人にもなぜか今世では好かれている。
「父も母も君が働くことについては賛成しているけれど。僕は家にいて欲しい」
「トレバー様、何も一生働き続けるわけではありません」
ふいに声をかけられ顔を上げる。
「え?」
レティシアは今トレバーと馬車の中にいた。二人はデートの帰りだ。今日は公園を散策した後、カフェで茶を飲みゆっくりと食事をした。だが、そんな最中でも近づいてくる死が不安でつい上の空になってしまう。
「私はどこでも」
レティシアの気のない答えにトレバーの顔が曇る。
「あの、トレバー様の行きたいところならばどこへでもご一緒したいです」
慌てて言い添えると、トレバーが微笑んだ。
「そう言ってもらえるのはうれしいけれど、今度はレティシアの行きたい場所にしよう。そうだ。家の領地に一度来ないか?」
「あの、でも遠いから」
「君はいつもそう言って断るね」
トレバーの新緑の瞳が揺れる。彼を悲しませているようで、胸がぎゅっと苦しくなる。
「いえ、あの、卒業の制作が終わってからでいい?」
本当は行きたくない。あの領主館には嫌な思い出がいっぱい詰まっている。彼の浮気の現場を見たのも領主館だし、毒殺未遂の冤罪をかけられたのもあの場所だ。
そこでふと重大なことに気付く、ミザリーがまたトレバーに手を出すのではないのかと。トレバーもそれに乗ってしまうかもしれない。
時を繰り返しているのはレティシアだけだ。今回、彼らの不倫を見ぬふりをすれば殺されないのだろうか。しかし、それではレティシアの心が死んでしまう。やはり今回も何かを間違えた気がしてならない。時が近づくにつれて不安になる。
「レティシア、大丈夫? 気分でも悪いの?」
「ああ、ごめんなさい。ちょっと疲れてて」
「根をつめて勉強し過ぎじゃないかな? レティシアはどうしても働きたいの?」
「え?」
このあいだ、臨時職員として短い時間ならばとブラウン子爵家からも働く許可が出たばかりだ。ブラウン家の義父母は教会の治癒師ならば次期子爵夫人として名誉なことだと喜んでいた。彼らはとても信心深く。今世でレティシアはとても気に入られていた。嫌われ続けてきたブラウン夫人にもなぜか今世では好かれている。
「父も母も君が働くことについては賛成しているけれど。僕は家にいて欲しい」
「トレバー様、何も一生働き続けるわけではありません」