Triangle Love 6 ~ 両手の花には罪と罰 ~
アヤと誕生日の約束をした翌日。

今度はシオリと放課後デートだ。

集合場所はまたしても高校の最寄りの駅前。

駅から徒歩数分の距離にあるファミリーレストランで、一緒に食事をしていた。

当然、アヤが部活中なのは確認済みだ。

オレの幸せなひと時が始まる。

『熱っ。』

『ジンのやつ、ドリア?グラタン?』

『ドリア。』

『ふーん…。あつっ!』

『つまみ食いするからだろ?』

『熱いのとは関係なくない?…はい。口空けて。』

『いいよ。くれるなら自分で食わせてよ。』

『さっさと口空けて。』

『うん…。うん。うまいけど。』

『ならいいじゃん。』

いや、だから照れるんだよ。

オレは、和風のパスタを口に押し込まれた。

シオリは見るからに楽しそうだ。

このドリアみたいに熱い時間を大切にしたい。

…きもちわるっ。

口には出していないから、またしてもセーフだ。

ドリンクバーのジュースをちびちびと飲みながらシオリは、オレに尋ねた。

『ジン。2週間後の土曜日って空いてる?』

『土曜日か…。学校休みだし、多分空いてると思うけど。何かあるの?』

オレもドリンクバーのジュースをちびちびと飲みながら質問をすると、シオリは少し恥ずかしそうに答えた。

『…部活の大会があって。練習試合とかじゃなくて。公式のやつ。観に来てほしい。応援しなくていいから。』

『大会…。』

『いてくれるだけで、力が出そうだから。観に来てくれる?』

そういうことか。

シオリは剣道部に所属している。

意外だと言ったら失礼かもしれないが、かなり真面目に部活動に取り組んでいる。

『応援しなくてもいい?大事な大会なんだから、応援するに決まってるっしょ。念の為、予定を確認してから連絡する。』

オレは心から思うことを言った。

『うん。…ありがと。』

シオリはそう呟いて下を向いた。

この反応は、嬉しいけど恥ずかしいから目が合わせられない時のやつだ。

うっかり自分の顔がにやけてしまわない様に、足をつねった。

ふと、お店の壁にかかった時計が見えた。

そろそろデート終了時刻だ。
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