Triangle Love 6 ~ 両手の花には罪と罰 ~
彼女達の大切な日が、ダブルブッキングしてしまっている事について話した。
オレの話をうなりながら聞いてくれた。
『いつかはこうなると思ってはいたんだけど…。引き際かな…。』
『…なるほどな。』
ジロウは眉間にシワを寄せて、腕組みをしている。
『はは…。とりあえずお菓子でも食うか。』
持ってきてくれたポテトチップスの袋を開けた瞬間、ジロウが話し始めた。
『なぁ。アダムとイブって愛し合っていたと思うか?』
『…急に何を言ってるんだ?』
『いいからさ。マジメに答えてくれよ。』
ジロウはポテトチップスの袋に手を伸ばした。
質問の意図がまるで分からない。
しかし、ジロウがふざけているようには見えなかった。
だから、普通に答えた。
『知らないけど、そうなんじゃない?』
『俺もそう思うんだよ。子供も産んでるしな。じゃあさ。なんで愛し合えたと思う?』
『ん…?詳しくないんだけど。アダムとイブって最初の人間か?神話だと。』
『そう。』
『ってことは、2人しかいないからか?2人きりだから。地球…?知らないけど、その場に男女が1人ずつだから。』
オレの口からそれっぽい答えが出た。
バリっ。
その瞬間、ジロウは次のポテトチップスの袋を開けた。
そして、更に質問を重ねる。
『なるほどな。ちなみにアダムとイブは楽園にいたらしいんだ。楽園に男女が2人だ。』
『うん。』
『…もしもさ。2人きりのはずの場所に、イブが2人いたらどうなると思う?楽園には男の人が1人、女の人が2人の合計3人。』
『…は?』
流石に意味が分からない。
話の意図も見えない。
こいつ、教祖にでもなりたいのか?
いや、教祖になることを悪く言いたいわけじゃないんだけども。
オレの手は止まってしまったけど、ジロウはお菓子を食べながら話を続けた。
『バリッ。バリッ。うまっ。』
『…。』
『…それでさ。俺はな。アダムの取り合いになると思うんだ。逆でもいい。アダムが2人いたらイブの取り合いになるだろーな。』
『だからなんだよ?』
『もしかしたらさ…。アダムを巡ってもう1人のアダムとイブが取り合う…。なんてこともあるかもな。』
『…。』
『争いだ。取り合いは争いなんだ。考えられるのは、片方だけのイブが傷ついて、残りのイブとアダムが幸せに暮らす。』
『…。』
『もしくは1人を巡った争いが激化して、3人とも共倒れっていうパターン。』
『共倒れ…。』
『色々と考えられるけどさ。どの道を通っても3人の楽園は崩壊だ。3人でいて幸せってのは、厳しいと思う…。』
『…。』
何となく、今のジロウの言葉には感情がこもっている気がした。
だから、オレは何も言わずジロウを見ていた。
ジロウはオレンジジュースを勢いよく口に含み、飲み込んだ。
『…だけどさ。俺の知ってるアダムさんは言うんだよ。周りにどう思われたとしても…。モラルを無視してでも。2人の女の子を幸せにするんだってさ。』
『…!』
『もしも上手くいったとしたら。楽園は崩壊しないよな…。』
『ジロウ…。』
コーヒーはとっくに冷めている。
なぜか喉が乾いてしょうがない。
冷め切ったコーヒーを口の中に流し込んだ。
そして無言のまま立ち上がり、冷蔵庫からオレンジジュースが入ったペットボトルを取り出した。
それをテーブルに持ってきて、ジロウのコップと自分のマグカップに注いだ。
『ありがとな。長々と話したけどさ。2人を選ぶという選択は有りだと思う。モラルは完全に無視してるし、リスクもあるけどな。』
『…。』
『似てるけど違うのは、2人ともを選ばないってこと。これが最悪の選択だ。ありがたいことにジンさ。好かれてるんだろ?簡単に別れるなんて考えるのはどうなんだ?』
『そう…だな。』
ジロウのまっすぐな瞳がオレを捉えた。
既に最低な自分がどこまで下に堕ちるのか。
そんなことを考えて、どうするべきか以前に、弱気になっていたことに初めて気がついた。
『見せてほしいよ。1人だけじゃなくて2人と真剣に恋愛をする。そんな夢みたいな話、見てみたい。』
『…。』
『…とは言え、俺は1人を選んだ方が良いとは思う。もしくは覚悟を決めて2人と別れるか。崩壊することだけは避けられるから。』
『…分かった。ありがとう。ごめんな。あんまり楽しくない、オレの話を聞かせて。』
『いやいや。たまにはこういう話をするのもアリじゃない?俺が偉そうなことを言える立場じゃないけどさ。…頑張れよ?』
オレの話をうなりながら聞いてくれた。
『いつかはこうなると思ってはいたんだけど…。引き際かな…。』
『…なるほどな。』
ジロウは眉間にシワを寄せて、腕組みをしている。
『はは…。とりあえずお菓子でも食うか。』
持ってきてくれたポテトチップスの袋を開けた瞬間、ジロウが話し始めた。
『なぁ。アダムとイブって愛し合っていたと思うか?』
『…急に何を言ってるんだ?』
『いいからさ。マジメに答えてくれよ。』
ジロウはポテトチップスの袋に手を伸ばした。
質問の意図がまるで分からない。
しかし、ジロウがふざけているようには見えなかった。
だから、普通に答えた。
『知らないけど、そうなんじゃない?』
『俺もそう思うんだよ。子供も産んでるしな。じゃあさ。なんで愛し合えたと思う?』
『ん…?詳しくないんだけど。アダムとイブって最初の人間か?神話だと。』
『そう。』
『ってことは、2人しかいないからか?2人きりだから。地球…?知らないけど、その場に男女が1人ずつだから。』
オレの口からそれっぽい答えが出た。
バリっ。
その瞬間、ジロウは次のポテトチップスの袋を開けた。
そして、更に質問を重ねる。
『なるほどな。ちなみにアダムとイブは楽園にいたらしいんだ。楽園に男女が2人だ。』
『うん。』
『…もしもさ。2人きりのはずの場所に、イブが2人いたらどうなると思う?楽園には男の人が1人、女の人が2人の合計3人。』
『…は?』
流石に意味が分からない。
話の意図も見えない。
こいつ、教祖にでもなりたいのか?
いや、教祖になることを悪く言いたいわけじゃないんだけども。
オレの手は止まってしまったけど、ジロウはお菓子を食べながら話を続けた。
『バリッ。バリッ。うまっ。』
『…。』
『…それでさ。俺はな。アダムの取り合いになると思うんだ。逆でもいい。アダムが2人いたらイブの取り合いになるだろーな。』
『だからなんだよ?』
『もしかしたらさ…。アダムを巡ってもう1人のアダムとイブが取り合う…。なんてこともあるかもな。』
『…。』
『争いだ。取り合いは争いなんだ。考えられるのは、片方だけのイブが傷ついて、残りのイブとアダムが幸せに暮らす。』
『…。』
『もしくは1人を巡った争いが激化して、3人とも共倒れっていうパターン。』
『共倒れ…。』
『色々と考えられるけどさ。どの道を通っても3人の楽園は崩壊だ。3人でいて幸せってのは、厳しいと思う…。』
『…。』
何となく、今のジロウの言葉には感情がこもっている気がした。
だから、オレは何も言わずジロウを見ていた。
ジロウはオレンジジュースを勢いよく口に含み、飲み込んだ。
『…だけどさ。俺の知ってるアダムさんは言うんだよ。周りにどう思われたとしても…。モラルを無視してでも。2人の女の子を幸せにするんだってさ。』
『…!』
『もしも上手くいったとしたら。楽園は崩壊しないよな…。』
『ジロウ…。』
コーヒーはとっくに冷めている。
なぜか喉が乾いてしょうがない。
冷め切ったコーヒーを口の中に流し込んだ。
そして無言のまま立ち上がり、冷蔵庫からオレンジジュースが入ったペットボトルを取り出した。
それをテーブルに持ってきて、ジロウのコップと自分のマグカップに注いだ。
『ありがとな。長々と話したけどさ。2人を選ぶという選択は有りだと思う。モラルは完全に無視してるし、リスクもあるけどな。』
『…。』
『似てるけど違うのは、2人ともを選ばないってこと。これが最悪の選択だ。ありがたいことにジンさ。好かれてるんだろ?簡単に別れるなんて考えるのはどうなんだ?』
『そう…だな。』
ジロウのまっすぐな瞳がオレを捉えた。
既に最低な自分がどこまで下に堕ちるのか。
そんなことを考えて、どうするべきか以前に、弱気になっていたことに初めて気がついた。
『見せてほしいよ。1人だけじゃなくて2人と真剣に恋愛をする。そんな夢みたいな話、見てみたい。』
『…。』
『…とは言え、俺は1人を選んだ方が良いとは思う。もしくは覚悟を決めて2人と別れるか。崩壊することだけは避けられるから。』
『…分かった。ありがとう。ごめんな。あんまり楽しくない、オレの話を聞かせて。』
『いやいや。たまにはこういう話をするのもアリじゃない?俺が偉そうなことを言える立場じゃないけどさ。…頑張れよ?』