Triangle Love 6 ~ 両手の花には罪と罰 ~
色々と考えているうちに3日が経過した。

ある月曜日の夕方。

ピーンポーン。

ドアのベルが鳴った。

『はいよー。』

『お邪魔しま~す。』

オレはアヤを呼び出した。

場所はどこでも良かったが、アヤの希望でオレの部屋になった。

できる限り普段通りの口調で尋ねた。

『…何か飲むか?』

『コーヒー以外なら何でも飲めます!』

『じゃあ水道水。』

『はい!』

『…いや、冗談だよ?』

『えっ?その嘘、分かりづらいですよ!わたし、先輩に出されたものは何でも喜んじゃうから!』

『なんだそれ。座布団の上、座ってて。』

『はい!』

口元が緩んでしまった。

緊張していたけど、それが少し和らいだから助かった。

昨日のうちに買っておいたホットココアを用意して、ローテーブルの上に持っていった。

アヤはココアが大好きだ。

『はいよ。』

『やったぁ!ありがとうございます!』

『あいよー。』

『うーん!おいしー!』

『それ、スーパーのお買い得品のやつだよ。溶かすだけ。』

『えー!めっちゃ美味しいのに安いんだ!』

『…なぁ、アヤ。』

『なんですかー?』

オレはローテーブルを挟んで、アヤの目の前に座った。

そして、一呼吸置いてから切り出した。

『土曜日の…。アヤの誕生日のことなんだけどさ…。』

『はい?』

アヤはココアを飲みながら、キョトンとしている。

『その日、部活の大会がある奴がいてさ。応援に行きたいんだ。だから、誕生日は…。ごめん。一緒に過ごせないんだ。』

『…。』

『でも…。夜なら空いてるから、ウチに来ないか?…盛大なパーティーを開催させて頂きますよ?』

『あー。大丈夫ですよ!それなら夜に行きますね!』

あれ?

意外にもあっさりとした反応だった。

心配になったので、そっと尋ねた。

『…いいのか?』

『はい!だって。友達の応援なんか断ったら、後で怖いじゃないですか。あの子は来てくれなかったとか言って、グチグチ言われるのは面倒ですよ?』

『そう…だな…。』

なるほど。

そういう解釈だからあっさりしているのか。

口の中に苦いものが広がった。

『ありがとな。お願い、聞いてあげられなくてごめん。』

『夜には会えるから大丈夫ですよ!それに、先輩はちゃんとわたしのわがままを聞いてくれてますって!』

『ごめんな…。プレゼントは期待しててくれ…。』 

『お構いなくですよ~!でも、それなら期待しちゃおうかなぁ!』
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