Triangle Love 6 ~ 両手の花には罪と罰 ~
10月27日になった。

シオリの部活動の大会当日の朝。

試合会場の体育館に入る前に、外にある入り口で待ち合わせをしていた。

剣道のことは全く分からないけど、こういう体育館で試合ってできるのか?

それにしても…。

体育館の大きさに、つい萎縮してしまう。

会場の前をうろうろしていると、軽く足踏みをしながら立っているシオリを発見した。

彼女もオレがいることに気づいたようだ。

『おはよ。ジン。』

『おはよう。緊張してんの?』

『半分くらい。』

『頑張れよ。誰よりも応援してるから。一応さ。これ…。』

神社で買ってきた必勝祈願のお守りと、スポーツドリンクを渡した。

するとシオリは、試合前とは思えない程、緩んだ笑顔をオレに見せてくれた。

『ありがと。これで頑張れそう…!』

『いやいや。無くても頑張れよ。』

『そうなんだけど。さらに頑張れそう…!』

『なら良かった。』

『じゃあ後でね。』

『あいよ。』

オレは力強く俯いた。

シオリは体育館の中に入っていった。

周りを見渡した後、腕時計を見た。

試合開始まではまだまだ時間がある。

そうだ。

あの男の様子でも見に行こう。

ズボンのポケットから、スマートフォンを取り出した。
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