Triangle Love 6 ~ 両手の花には罪と罰 ~
試合会場の体育館に隣接しているテニスコートの方に向かった。

今日はテニスの公式試合もあるらしい。

話によると、この辺りにいるはずだった。

しばらくテニスコートの周辺をうろうろしていた。

『おーい!ジン!』

突然、ジロウの声がしたから振り向いた。

ん…?

本当にジロウなのか?

いや、声は本人だけども。

怪しい男が近づいて来た。

なぜか、全く似合っていないサングラスをかけていた。

レンズが輝き過ぎて、オレの顔が映り込んでいる。

さらには、季節外れの麦わら帽子も被っていた。

『何だよそのグラサン。だっさ。変だぞ?レンズ光り過ぎだろ。』 

『何って。変装だよ。』

『あと、麦わら帽子ってなんだよ。今はもう秋だぞ?せめて夏に被れよ。』

『いや。持ってる帽子で被ってないやつ、これしかなかったんだよ。ストック切れしてさ。』

『他にもバリエーションがあるのか…。』

『おう。』

『いや、変装しなきゃいいんじゃないか?なんだ、ジロウ。彼女には応援に来てること、秘密なのか?』

『なんていうか…。内緒なんだけど…。内緒じゃないっていうか…。』

『…何を言ってるんだ?』

オレには理解ができなかった。

もしかしたら、彼らなりのプレイなのかもしれない。

それか、ジロウなりの応援スタイルなのかもしれない。

分からないけど、複雑な想いがあるんだろうとは思う。
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