酩酊メロウ
「うん、熱は無いね。平気そうならいろいろ話したいけど、混乱してるし不安だろうから、今日は家に帰ってゆっくり休んで」

「もう大丈夫、落ち着いてるよ。だからできれば今教えて欲しい」

「だよな、気になって帰れねえよな。琥珀、本当のこと話してやれば?」


背後からユウガさんの声が聞こえて振り返ると、抱っこにおんぶ状態だった双子たちをその場に残し、なぜか私のすぐ隣に腰を下ろした。

この人、なんでいちいち距離が近いの?
もしかして私が童顔だから子どもたちと同じ扱いしてるのかな。

ふと流星くんと星奈ちゃんを見ると、2人はこっちを見ながらニヤニヤ笑っていた。なんなの、その意味深な表情。

子どもたちの様子が気になったけど、隣に座ったユウガさんが顔を覗き込んできたから緊張して顔を伏せた。


「家に帰すのは得策じゃねえと思うけど。ちなみに調べたら、澪ちゃんの母親は別の闇金から金借りてるらしい。娘を保証人にしてるんだったら、また家に取り立てが来るかも」


しかし、信じられない発言に顔を上げる、
取り立てが来るのは一回だけではない?今後も起きうるかもしれないの?
母が蒸発してから大変だったけど、やっと生活が安定してきて、独りでも頑張ろうって思ってたところだったのに。


「……そんな」

「この話聞いても、あの家に帰りたいと思う?」

「思わない、です」

「よし決まり、1300万肩代わりしてあげるから、ここに越しておいで」

「えっ?」


しかし、まさかの提案を受けて目が点になった。
つまり、肩代わりしてあげるからこの家に引っ越してこいってこと?

冷静に考えても意味が分からない。そこまでしてヤクザの幹部が私を匿うメリットは?
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