酩酊メロウ
憂雅さんと出会ってから、4度目の夏を迎えた。
今年で私は24歳、憂雅さんは30歳になる。
関係性に変化はなく、変わらず仲良くやっている。

しかし、この4年で周りは大きく変わった。
琥珀は大学卒業と同時に、絆さんと籍を入れた。
“荒瀬琥珀”は荒瀬組の姐としての地位を確立し、姉御肌な気質から組員に慕われている。

琥珀が正式に若頭の妻となったため、11歳になった双子たちは一緒に住んでいるものの、後見人と戸籍を変えて今は“鳥飼”と名乗っている。


しかし私たちは変わらない。結婚とは契約であり縛りだ。万が一私の身に何かあって、憂雅さんの負担になるわけにはいかない。
絆さんと琥珀が結婚できても、私たちは無理だろうと、なんとなく分かっていた。

私は事実婚でもいい、添い遂げられるならそれで十分。
だからこの関係は変わらないのだと、そう信じていた。
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