酩酊メロウ
朝食を食べて着替えを済ませた2人は、事務所に置きっぱなしのランドセルを取りに行ってそのまま学校に向かった。

朝食に使った食器を洗っていると、憂雅さんがそっと近づいてきた。
足音がなかったし、180cm越えの男にいきなりのぞき込まれたらびっくりして肩がビクッと跳ねる。

それを怯えてると勘違いしたのか、憂雅さんは眉を八の字にして申し訳なさそうな顔をした。
普段とのギャップにうっかり心を鷲掴みにされ、胸を押える。


「身体大丈夫？痛い？」

「えっと、ちょっと違和感があるくらいです。痛みはないので大丈夫です」

「出てったりしない？」

「え？」


憂雅さんはどうやら、私が逃げ出すかもしれないから不安になっているらしい。
なんでそんな顔するのかさっぱり分からない。替えの女なんていくらでもいるはずなのに。


「澪ちゃんが嫌がることはしないから、ここに残って欲しい。ごめん自分勝手で」


揺れる瞳が私を捉えて、不安に苛まれる姿がかわいいと思ってしまった。
計算でもいいと思えるくらい、胸がぎゅっと苦しくなるほど母性本能をくすぐられた。
しゅんとしてうなだれる姿にキュンキュンしてしまう。
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