酩酊メロウ
「私は平気じゃないからしないよ。いい加減出ないと憂雅さん待ちくたびれちゃう」

「分かったよ、行けばいいんだろ」

「うんうん、頑張ったらご褒美あげるから」

「……言質取ったからな」


荒瀬絆はご褒美と聞くと目を輝かせた。
そんな彼を見て「いいから早く行ってらっしゃい」と琥珀は通常運転だ。
すごい、若頭相手にそんな適当に対応できるなんて。全世界探しても琥珀くらいだよ。


「お待たせ、ごめんねそんなところで待たせて」

「ううん、大丈夫だけど……その、すごいね。情熱的で」

「うん、荒瀬の男ってみんなあんな感じ」

「そうなんだ、みんな一途なの?」

「一途になる前はみんな女遊び激しいらしいけどね。憂雅さんはどうか知らないけど」


絆さんがエレベーターに乗って居なくなった後、琥珀がため息混じりに近づいてきた。
荒瀬の男はみんな好きな人に対して情熱的ってこと?
クスッと笑ったけど、憂雅さんの話題を出されて表情が強ばった。


「憂雅さんと最近どう?」

「……ちょっと怖いかも」

「怖い?」

「職業柄仕方ないけど、平気で嘘つくから」


最近どうって、まさか昨夜のこともうバレた?
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