酩酊メロウ
「澪ちゃん、いい匂いする」

「琥珀ちゃんからヘアオイルをもらったんです」

「へえ、俺この匂い好き」


認めたくなくて立ち上がろうと膝を立てる。
ところが憂雅さんはちょうど目の前にきた谷間に顔を埋めてきた。

過度なスキンシップに驚きすぎて声も出ない。
すると、憂雅さんは顔を上げて私の顔を見つめる。
今度は上目遣いの破壊力に言葉を失った。


「つーか風呂上がりだった?酒臭いのに抱きついてごめん」

「いえ、大丈夫です」

「嫌じゃねえの?」

「え?」

「嫌って言ってくれないと離さねえけど」


直視できなくて目を逸らすと、抱きしめる腕に力を込めてもっと密着してきた。
拒否したら離してくれるの?とてもそうには見えないけど。


「とりあえず風呂入りたいんだけど、背中流してくれない?」

「今から、ですか?」

「何もしねえって約束する。酔ってるから転倒しそうで怖いだけ」


嫌とは言いきれずにいると、背中を流してくれとお願いされた。
一緒にお風呂に入るってこと?いくら一夜を共にしたからって、男の裸には慣れてないのに。

答えに迷ったら、了承の意だと受け取られてバスルームに連れられた。
脱衣所で憂雅さんは急に脱ぎ出したから「準備できたら声かけてください!」と慌てて外に出た。
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