酩酊メロウ
「怖い?」

「綺麗です、目を奪われてしまうくらい……」

「澪ちゃんが興味津々なの意外だった。怖がりそうなのに」

「確かに怖いイメージがあったけど、ここまで繊細な仕上がりなら芸術ですね。触っていいですか?」

「はは、どうぞ」


好奇心に突き動かされて、背中に手を伸ばす。
すべすべで綺麗な肌。刺青を入れている部分もなめらかですっかり馴染んでいる。

それにしても、日本のヤクザがこんな洋風な刺青って珍しい気がする。


「極道の人って、和彫りって言うんですか?日本固有の刺青のイメージがあったんですけど、憂雅さんは違うんですね」

「半分趣味で後は覚悟みたいなもん」

「覚悟?」


酔いの影響で呆然と鏡と向き合っていた憂雅さん。しかし覚悟と口にすると、その目に光が戻った。


「天使の刺青はいろいろ意味があるけど、俺のは守護って意味合いが強い」

「守護?誰を守るためですか?」

「俺は絆を守るためにヤクザになるって決めたから」
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