酩酊メロウ
絆って、荒瀬絆のこと?
確か若頭の絆さんとは兄弟のように育ったと聞いていたけど、そこまでの決意があるとは。

綺麗事とは程遠い世界で、守るためと言い切る憂雅さんはかっこいい。
嘘だらけの憂雅さんだけど、今の発言は嘘じゃないと信じたい。

漢気に感銘を受け、酔いどれ憂雅さんのお世話を買って出た。
丁寧に頭髪を洗った後にボディーソープを泡立てて背中を洗う。
体の前面は自分で洗ってもらって泡を洗い流す。

洗いながら出来心で刺青が気になって指でそっとなぞるように触ると、ピクっと反応を示した。


「あのさ、その触り方はゾワッてするからやめてくんね?」

「あ、ごめんなさい……」


憂雅さんは私の腕を掴むと、空いている手でつぅ、と滑らせるように指先で触る。


「こういう感じ。嫌だろ?」


思わず顔が熱くなった。
だってその焦らすような手つき、私を抱いた時と同じだったから。
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