酩酊メロウ
「適当な理由がねえと絆が納得しねえからさ。
まさかあの状況で直球投げてくると思わなかったから焦ったけど」


恋とか愛とか、そんな不確かなものに振り回されたくない。
だからそんな優しい顔をするのはやめて。


「本音は澪ちゃんがタイプ。これはマジ」

「嘘ばっかり……」

「あーあ、なんにも信じてもらねえじゃん俺、まるで狼少年だ」


狼少年だと嘆く割に、楽観的に笑っている。
ずいぶん気楽なものだから、やっぱり私のことなんて真剣に考えてないんだ、と落ち込む。

ところが憂雅さんは有無を言わさず強い力でふたたび抱きしめてきた。


「こら、逃げない」

「潰れる……力が強くて痛い!」

「ああ、ごめん。つい力んじゃって」


逃げるつもりはないけど、たくましい胸筋に挟まれて顔が痛い。
暴れて必死に訴えると力をゆるめてくれた。

だけど触れ合っていないと不安らしく、私の頭に手を置いてゆるく抱きついてくる。
「離して下さい」と伝えたら「それは却下」と拒否されてしまった。
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