酩酊メロウ
「憂雅、澪、来たよ〜!」

「暑かったでしょ、アイスどうぞ」

「やったー!」


14時、本家にいた流星くんと星奈ちゃんが帰ってきた。
汗だくで来たため、麦茶とアイスを出して冷房を入れた部屋で涼んでもらう。

琥珀と絆さんは本家で用事があるから帰りが遅くなるらしい。
未来の“姐さん”として、琥珀は何かと忙しいらしい。
姐さんかぁ、かっこいい。
万年ぽよぽよで威厳のない私は器じゃないって分かってるけど、そういうの憧れる。


「澪、虫さされすごいね。かゆそう」

「えっ、どこ?」

「後ろが赤くなってるよ、ここ」


ぼーっとしながらアイスを食べるふたりを観察していたら、流星くんが私の首を触る。

虫には刺されてない。つまり犯人は憂雅さんだ。
鏡に映らないところにキスマ付けてくるなんて最悪!


「あれー?寝てる間に刺されちゃったのかな」

「ぶはっ、演技下手……いって!」


誤魔化したら笑われたから、机の下で憂雅さんの足をふんづけた。


「琥珀もよくねてる間にさされるんだって」


痛がる憂雅さんを横目に、流星くんの言葉を聞いて「そうなんだ」と相槌を打つ。
って、それ絶対キスマークじゃん。琥珀も誤魔化すのに苦労してるんだ。

独占欲が強い彼氏を持つと大変だな。
憂雅さんの場合は、独占欲じゃなくてただの癖だと思うけど。

じとっと憂雅さんを見つめると、蹴られて痛がってるくせに「なんだよ」とほんの少し口角を上げた。
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