酩酊メロウ
「分かるよ、わたしも憂雅のこと好きだったから」

「そうなの?」

「うん、でもつかれちゃったから追いかけるのやめたの」


星奈ちゃんも憂雅さんが好きだったらしい。
ところで、7歳児に隠し事が知られてしまうなんて、もしかして他人から見たら憂雅さんが好きだってバレバレ?

それとも好きだった同士だから分かったのかな。
とにかく同じ話題を共有できて少し心が休まる。


「それって、憂雅さんが嘘つくから?」

「そうだよ、憂雅ってやさしいけどうそばっかりでしょ?」


星奈ちゃんも知っていた、憂雅さんが嘘つきだと。
嘘で距離を置かれるとつらいよね。一向に信用してもらえない気がして。


「あれは女泣かせよ」

「どこで覚えるのそういう言葉……」

「ふふ、乙女のひみつ」


女泣かせ、なんて大人びた言葉につっこんだら、ちょっとふざけた顔をして笑わせてくれた。
星奈ちゃんに気を使わせるなんて、大人として失格だな。


「ありがとう星奈ちゃん、私のこと励ましてくれたんだね。私、もう少し頑張ってみる」


安心させるために歯切れよく答えて、嘘でも元気に笑ってみせる。
星奈ちゃんも「おうえんしてる!」と笑ってエールを送ってくれた。
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