酩酊メロウ

外はもう暗くなっていて、繁華街の明かりが眩しかった。
キャバクラやホスト、風俗店が軒を連ねる、欲望渦巻く私の知らない世界。

大通りのきらびやかな店を横目に路地裏に入って、人気のない方へ私の手を引いて歩いていくユウガさん。
一体どこに連れていくつもりなのか。恐怖を押し殺して私は口を開いた。


「あの、私……これからどうすれば」

「心配しなくていい。元々闇金に返済義務はないから」

「じゃあ、どうして私を助けてくれたんですか？私たち初対面ですよね」

「とりあえず琥珀の話聞いてやって」

「コハク？誰ですか？」


質問に答えてくれたけど、疑問が膨れ上がって次々質問してしまう。
ユウガさんは繁華街を抜けて車の通りが少ない道路に出ると、待機していた車の後部座席のドアを開いて車に乗るよう指示した。
ためらっていると、中から女の人が顔を出した。


「……杏ちゃん！？」


車に乗っていたのは、なんと大学の友達の杏ちゃんだった。
ベージュの長い髪に白い肌。いつも眼鏡をかけてるけど、今日はしてないから雰囲気が違う。
なんで杏ちゃんが？もしかして、裏社会と関わりのある人物だったの？

でもそんな風には見えなかった。だって杏ちゃんは親を亡くしてるけど、年の離れた双子の弟と妹のお世話をしながら頑張ってきた思いやりのある優しい子だから。

でも、それはかりそめの姿だった。また私、嘘を見抜けず騙されていたの？