酩酊メロウ
「あれ、渡さないんだ」

「ただの家政婦だし、いいもの用意できないから、もらったって迷惑だろうなって」

「澪は、憂雅さんのこと好きじゃないの?」


さらに初めてオブラートに包まず核心を突かれ、目を見開いて立ち止まった。


「憂雅さん、澪に出会ってから心の拠り所ができたっていうか、目に見えて安定してる気がする。
だからもしかしたら進展したのかなと思ったけど、違った?」

「……分からない」

「分からない?」

「あんまりこの話したくないかも、ごめんね」


苦笑いを浮かべて半ば無理やり話を途切らせた。
琥珀にはしまったという顔をさせてしまい、逆にこっちが申し訳ない。

お互い大人だから、その後は何事も無かったように話をしながら帰った。
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