酩酊メロウ
人魚姫って、こんな悲しいストーリーだっけ。
幼児向けの素朴なイラストなのに、読んで感情移入した。

それはたぶん、恋の痛みを知ってしまったから。
こんな思いするくらいなら、最初から恋なんて知らなければよかった。そんな思いが分かるようになってしまったから。

報われないならいっそ、人魚姫のように泡になって消えてしまいたい。


「澪は人魚姫にならないでね」

「……」

「泡になって消えたりしないで」


私の考えを見透かすように、星奈ちゃんは私の目を見つめて不安そうな顔をする。
不甲斐ない、子どもにそんな顔をさせるなんて。


「大丈夫、心配しないで」


憂雅さんと過ごすうちに、ずいぶん上手になった偽りの笑顔。
星奈ちゃんはいつかのように「うん、おうえんしてる!」と満面の笑みを見せてくれた。

星奈ちゃんが手紙を書き終えた頃、流星くんが謝りに来て2人は仲直りして家に戻って行った。
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