酩酊メロウ
ぽつんと独り残されて、弱くなったと感じた。
孤独でいるのは得意のはずだったのに、人の気配を感じないと不安になっている。

琥珀も星奈ちゃんも、私の不安定な部分に勘づいて焦っているんだろう。
だけどいくら周りが残って欲しいと切望しても、憂雅さんの気持ちがこちらに傾かなければ意味が無い。

正直、もう潮時だろう。飽きられてしまえば、すがりつく意味なんてない。
そもそも、愛されたいと願ったのが間違いだった。


「もう疲れた……」


この半年、いろんなことを考えすぎて疲れた、少し気持ちを整理をしたい。
ちょうど今日は金曜日。2日くらい家を空けても構わないだろう。
土日で山梨の祖父母の家に帰ると置き手紙を書いて、荷造りを始める。
こういう時は勢いが大事だ、迷うより行動しよう。

電車の時間を調べて、準備が整った。
忘れ物がないか確認していると、玄関のドアが開く音がした。
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