酩酊メロウ
荒瀬の男は、皆一様にして伴侶を大事にしている。
血も涙もない極道としては異様だが、荒瀬では昔からそうだった。

それは兄弟のように育った若頭の絆も同じで、あれだけ女遊びが激しかったくせに、ころっと恋人を作っちまうもんだから驚いた。

けどまあ、しょせんは他人事。俺は関係ないと高を括っていたら、思いがけない出逢いをした。


安藤澪、琥珀の大学の友達。肉付きが良くて色白で柔らかそうな肌の、笑顔のかわいい純粋そうな子。

偶然見かけた時、どタイプすぎて目が離せなかった。あれだけタイプの女はなかなか現れないから、どうにかお近付きになろうと試みたが、琥珀に「ヤクザの世界に巻き込まないで」と釘を刺され諦めていた。

が、あれから1年と半年。諦めきれずこっちに引きずり込んでしまった。

反省はしてるが後悔はしていない。
初めて欲しいと思った女をただ指咥えて見てるなんて柄じゃねえから。
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