酩酊メロウ
「楽しかった?」

「楽しかったー!」


声をかけると、パッと顔を上げて歯を見せて笑う。
うーわ、かわいい。タメ口なのも新鮮でいい。


「澪って酔ったらかわいいな」


愛しさのあまり抱きしめると、澪は腕の中で「んふふ」と笑って頬をすりすりしながら俺に体を預ける。
あー、今すぐ押し倒してめちゃくちゃにしてぇ。

酔ってもこんなにかわいいってマジかよ。素面なのに理性飛びそうでヤバい。


「けど今度から、酒飲む時は俺と一緒の時にしような」

「なんで?」

「俺の知らない所で無防備な姿を見せないで欲しい」


独占欲が言葉になって口から出る。すると澪はニヤッと笑って俺を見た。
なんだよ、なんか言いたげだな。


「ヤキモチ?」

「……そうかも」

「えへへ、嘘つきな憂雅さんが素直だ。ヤキモチ焼いてるのかわいい」


なんだよその無邪気な笑い声、なんだその笑顔。
あーあ、素面だから真摯な俺でいたかったのに。必死に我慢して理性を保とうとしたが、ついに限界を超えてしまった。
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