酩酊メロウ
まぶたを押し上げると、天井に設置されたシーリングファンがゆっくり回っていた。
それを目で追っていると段々目が覚めてきて、自分の置かれている状況を思い出した。

ここどこ?杏ちゃんとユウガさんは?
起き上がると、伸ばした足の先にユウガさんが座っていた。


「あ、起きた。気分どう?」


私はどうやら4人がけくらいのソファに寝かされていたらしい。
そんなことよりこんな至近距離にいるとは思わなかった。とっさに膝を丸めて距離をとる。


「あの、ここは……」

「俺の家。気絶して倒れたの覚えてる?」

「あ、はい……ご迷惑おかけしました」


激しく脈打つ胸を押さえて受け答えをする。
すると突然、ソファの背もたれの後ろから、にょきっと2つの頭が出現した。


「澪、おきた?」

「澪ちゃん大丈夫なの?」

「……流星(りゅうせい)くん、星奈(せな)ちゃん!?」


身構えたら、そこに並んでいた小さな顔は知人だった。
双子の流星と星奈。この子たちは杏ちゃんの弟と妹で、ごくごく普通の小学二年生。
だけど、あんな出来事があってはこれまで通りの態度で接することができない。思わず目を逸らしてしまった。


「憂雅すっごくしんぱいしてたよ」

「澪ちゃんがうなされてたから、なでなでしてあげてたよ。おぼえてる?」

「お、覚えてない……」


でも2人はいつも通り話しかけてくれて、罪悪感に負けて言葉を返した。
しばらく食い入るように私を見つめていた2人だけど、興味がなくなったのかユウガさんに近づいた。
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