酩酊メロウ
凛太郎さんはよほど私が気になるのかその後も厨房にいて、昔馴染みらしい力さんとずっと喋っていた。
和やかな雰囲気だったから、私も会話に加わって楽しく仕事をしていた。
「にしても、あのいたずらっ子の憂雅に彼女なんて、俺泣けてくる」
「憂雅さんって、いたずらっ子だったんですか?」
「ね、すごかったよな力さん」
「すごかったな、つまみ食いは日常茶飯事で何度叱ったことか。
思い出すと腹立つが、初恋が壱華さんだってことでオヤジに難癖つけられて可哀想だから、本家に帰ってきた時は優しくしてやらねえとな」
力さんは数々の料理を丁寧に盛りつけをしながら笑う。
憂雅さん、子どもの時は本家で育ったって言ってたから大勢の大人に可愛がられてわんぱくそうだと思った。
そして、そんな憂雅少年の初恋相手の名前が出てきて、私はその名が少し引っかかった。
「はは、オヤジの嫉妬深いのは変わらないな。俺もよく睨まれるよ」
「あの、イチカさんって……」
「ああ、姐さんだよ。組長の嫁」
質問すると、予想通りの答えが帰ってきた。
組長の妻である荒瀬壱華は、年齢不詳で絶世の美女として有名だった。
「やっぱり、本当は美人が好きなんですね……」
「凛兄!澪に変なこと吹き込むのやめろよ!」
勝手にショックを受けて落ち込んだその時、足音が近づいてきたかと思うと、乱れた髪の憂雅さんが厨房に顔を出した。
和やかな雰囲気だったから、私も会話に加わって楽しく仕事をしていた。
「にしても、あのいたずらっ子の憂雅に彼女なんて、俺泣けてくる」
「憂雅さんって、いたずらっ子だったんですか?」
「ね、すごかったよな力さん」
「すごかったな、つまみ食いは日常茶飯事で何度叱ったことか。
思い出すと腹立つが、初恋が壱華さんだってことでオヤジに難癖つけられて可哀想だから、本家に帰ってきた時は優しくしてやらねえとな」
力さんは数々の料理を丁寧に盛りつけをしながら笑う。
憂雅さん、子どもの時は本家で育ったって言ってたから大勢の大人に可愛がられてわんぱくそうだと思った。
そして、そんな憂雅少年の初恋相手の名前が出てきて、私はその名が少し引っかかった。
「はは、オヤジの嫉妬深いのは変わらないな。俺もよく睨まれるよ」
「あの、イチカさんって……」
「ああ、姐さんだよ。組長の嫁」
質問すると、予想通りの答えが帰ってきた。
組長の妻である荒瀬壱華は、年齢不詳で絶世の美女として有名だった。
「やっぱり、本当は美人が好きなんですね……」
「凛兄!澪に変なこと吹き込むのやめろよ!」
勝手にショックを受けて落ち込んだその時、足音が近づいてきたかと思うと、乱れた髪の憂雅さんが厨房に顔を出した。