【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
携帯をおこうとしたら、突然着信音が鳴った。

画面には、沢木ラン。

「もしもし」

『アヤ?ごめん、寝てた?」

「ううん。どうした?」

『うん、ちょっと…。麻生くんのこと聞きたくて…』

そうだった。

すっかり舞い上がってしまってランのことを忘れていた。

麻生君とぶつかったあとめがねが壊れたりで、それっきりランとは話をしていなかった。

『麻生くんとアヤって前から仲良かったの?』

ランの声がいつもと違う。

深刻な声だ。

「違うよ。今日はじめて話したんだよ」

『そんなふうには見えなかったから…さ』

「ほんとだって」

『あんなふうに女子に接する麻生くんはじめて見たよ。なんかうらやましかった』

ずきん。

胸が痛んだ。

ランの気持ちは前から知っている。

麻生君のことが大好きでたまらないってこと。


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