【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
麻生君のこと好きになりかかっている――。

そんなふうに正直に言えたらどんなに楽だろうか。

でも、ランの気持ちを考えたらそんなこと言えない。

ましてや土曜日彼の家に行くことなんて。



ううん、あれは違う。

単に勉強に誘われただけ。

だからやましくなんかない。



私は自分のなかで言い訳を探す。

そうすることで自分を正当化したかった。



私はランをだましたりしていない。

ランを裏切るだなんてこれっぽちも考えていない。



「ラン、何も心配することなんてないんだからね」


ランは何も答えない。

もしかしたら何かを感じているのかもしれない。


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