【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「うわあ…」

思わず声が漏れた。

まるで宝石箱。

品目ごとに仕切られ、色とりどりのケースが列をなす。

ファンデーションや口紅ならさすがに私もわかるけど、「これなんだろう」と思われる得体の知れない化粧品もあった。

それにしても…。

あまりに種類が多くて困ってしまった。

この前、どんな手順でRYOさんが使っていたかよく見ておけばよかった。

でもあの時は何をされるのかわからなくて、そっちの不安ばかりでちっとも余裕がなかったから。



私は引き出しの中を一通り確認すると、リップスティックを一本取り出した。


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