【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「ねえ、沢木さん」

麻生くんの右手が私の肩にかかる。

その途端、私の体がびくんと震えた。

「ご…ごめん…ね、私、わからない…や」

喉を絞るようにしてなんとか言葉をつなぐ。

たどたどしい文字が私の唇からこぼれた。



「マコ、いい?」

その言葉と同時に誰かが入ってきた。

「母さん、何?今勉強中なんだけど」

麻生君は私から体を離そうともせず答える。

ちょっと、お母さんなんでしょ。

普通こういう場面見られたらいやなんじゃないの?

私は固まったまま動けない。



< 138 / 353 >

この作品をシェア

pagetop