【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
とにかくこの雷雨から少しでも遠ざかりたくて、今度は躊躇することなく部屋に上がりこんだ。

リビングへ駆け込み、ソファーの上でうずくまる。

窓の向こうでは暗黒の雷雲がとぐろを巻き、容赦なく稲妻を叩きつけていた。

そのたびに、振動が窓を伝わり、挙句に私の体を震え上がらせる。

照明すらついていないこの広い部屋の片隅で私はひざを抱えて小さくなるしかなかった。

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