【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「沢木さん、どうかした?」

次の土曜日、私は麻生くんの部屋にいた。

「あ…ごめん」

まただ。

私はRYOさんと女の人の行為を思い出していた。

あの日以来、日に何度となくその光景が頭の中に蘇り、何も考えられなくなってしまっていた。

「考えごと?」

「うん…ちょっと」

麻生君は長いまつげをしばたかせながら、私の顔を覗き込む。

考えていることが考えていることだけに、私は彼の目を見ることができない。

「当ててあげようか」

「え?」

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