【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「隠してることなんか…ないよ」

「嘘!」

「嘘じゃない」

「だって、アイラッシュは?」


私がアイラッシュを知っているわけないってランは思ってる。

疑いのまなざしを向けたまま、ランは眉間に皺をよせた。



「雑誌だよ。ランが私に見せた雑誌に載ってた…」



まただ。

私の舌は乾くこともなく、次から次へと嘘を並べ立てる。

嘘を隠すために嘘を重ね、それは幾重にも重ねられ、自分自身の手を離れてしまうのに。


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