【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「ちょ、ちょっと待って。シナリオって…?」


別人みたいだった。

優しくて聡明で美形の麻生くんではなかった。



顔が真っ赤に紅潮し、眉間に深い皺が刻まれている。

白目が充血し、まるで鬼の形相だ。



「君は僕に心惹かれ、やがて恋をする。そして僕に告白するんだ」

「何、言ってるの? わかんない、わかんないよ」



――バタン。


椅子が倒れた。


私は身の危険を感じ、麻生君から離れようと壁際に寄る。
< 195 / 353 >

この作品をシェア

pagetop