【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「教えてあげるよ。本当の僕なんてどこにもいない。僕ですら自分が何者なのかなんてわかっていないんだから。だから君の考えは一方的な独りよがりってこと」


麻生くんのきれいな手が私の喉元に届いていた。


「や、やめて…」


見かけからは想像がつかなかった。

どこからこんな力が出てくるのだろう。

抵抗しようとする私の両方の手は宙をただ踊るだけで、彼の行動を抑止することなどできるわけがない。



「ねえ、アヤちゃん。君は僕のことが好きなんだよね。そうだろ、ほら、言ってごらん」






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