【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「沢木さんバカだよ。僕に恋すればいいのに。そしたらすべてうまくいくのに」

意識が遠のいていく。

麻生くんの顔がだんだんぼやけて…。



誰か、助けて。

RYOさん、ねえRYOさん。

私、死にたくない。

もういちどRYOさんに会いたいよ。



「何してるの?」



その声と同時に麻生くんの手は私の首から外れた。

支えを失った私は床に倒れ落ちる。



「あなた、大丈夫?」



うっすら開いた私の目に映ったのは、きれいな顔の女の人。


その悲鳴に似たような声は耳に覚えがあり、私は記憶の中をまさぐろうとした。


どこかで聞いたよね。



それはいったいどこだったんだろう。

< 199 / 353 >

この作品をシェア

pagetop