【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
はっきり私の意識が戻ったのはベッドの上だった。

「大丈夫?」

心配そうに私の顔をのぞきこむ麻生くんのお母さん。

「あ…私…」

「まだしゃべらないで」

喉が痛い…。

私は麻生くんのお母さんの言葉に従った。

「ごめんなさいね」

声が震えていた。

「なんであの子、あんなことをしたのか。理由を聞いても何も言わなくて…。あなたにはいくら謝っても足りないわ。本当にごめんなさい」

「いえ、大丈夫です」と言おうとしたけれど、うまく声にならない。

「たまたま書類を取りに帰ってきたら、女の子の悲鳴が聞こえて…。それでマコの部屋に入ったら、あんなことになっていて」

麻生くんのお母さんは、両方の手で顔を覆っていた。

そして何度も頭を左右に振る。


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