【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「アヤちゃん?」

心配そうに覗き込むRYOさん。

「あ…ごめんなさい。ちょっと考え事していて」



そう。

私は相変わらずRYOさんのところでバイトを続けていた。

麻生くんに少しでも釣り合いたい。

それできれいになりたくて、RYOさんに頼みこんだのがきっかけだったのに。


でも、今は状況が変わってしまった。



今、バイトを続けているのは、RYOさんと離れたくないからだ。


バイトをやめてしまえばRYOさんとのつながりがなくなってしまう。


告白することなどできるわけないのだから、ずっと片思いのままだろう。


それでも、RYOさんの近くにいたい。


そばにいられればそれだけで幸せだと思った。
< 207 / 353 >

この作品をシェア

pagetop