【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
フラッシュバックのようにあの光景が蘇る。

RYOさんと抱き合う知らない女。

私をあざけ笑うかのように、これみよがしに、絡みつく。



『この人は私の男よ…』



女の裸の背中がそう言っているかのようで。

それでも、言い返すこともできず、自分自身の気配を消すことしかできず、私は記憶の中の女に明らかに負けてしまっていた。



青臭い自分にはない芳醇な甘さとむせぶような色香がまぶしくて、ただ立ち尽くすことしかできなかった。
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