【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
――来ないと後悔するからね。



その一文がどうしてもひっかかって。



結局次の日、私は麻生くんのもとへ足を運んでしまった。




もしかしたら、殺されてしまうかもしれない。

あの日、私の首に手を回した彼の力の強さがよみがえる。

なのに、私の手はその呼び鈴を押してしまう。



――ピンポーン、ピンポーン。



けれど、中からはなんの応答もない。



からかわれた?

半分安心したような、悔しいような。



本当はそのまま帰ってしまえばよかったのかもしれない。



< 248 / 353 >

この作品をシェア

pagetop