【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「え、でも…」

私のはっきりしない言葉に腹を立てたかのように、麻生君は声を荒げた。

「ここまで来て何を言ってるの。後悔したくないんだろう。だから君はここまで来たんだろう」

「ちがう、ちがうの。私はもう後悔している。ここに来てしまったことを」



固く閉ざされてしまったドアだと分かってはいたが、私は何度もドアノブを揺さぶる。

お願い、開いて。

私を逃がして。



「ドアは開かないよ。僕の部屋で遠隔操作しているから」



冷たい声。

彼の狂気じみた笑い顔が頭に浮かぶ。



「どうしても上がってこないって言うんなら。仕方ないね。これだったらどう?」



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