【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「アヤには理解できないかもしれないけれど、私、麻生くんのことが好きでどうしようもないの」

ランの唇が震えていた。

長いまつげが影を作る。

「だから…麻生くんのためだったらなんだってできる。私、アヤにどう思われようと平気だよ。アヤに軽蔑されたって…私、私…」

「ラン!」

私はランを抱きしめていた。

声をなくした小さなウサギのように体を小さく固まらせている。

そしてとめどなくあふれる涙をぬぐうこともなかった。


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