【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
ランが落ち着くのを待って私は切り出した。

「どうして麻生君と連絡を取るようになったの? 彼のことが心配だったから?」

ランはしっかりとうなずく。

「はじめは麻生くんの家の周りをうろうろしていただけ。いきなりたずねることなんてできないし。だって、麻生くんのことが心配で心配でいても立ってもいられなかったの」

「本当に好きなんだね」

ほんの少し、ランの頬に赤みが差す。

「理由なんかないの。ただ麻生くんが好きなだけ。それだけ…」

胸が痛かった。

ぎゅっとわしづかみにされているようで、なんだか切ない。

「わかるよ。好きになったら、頭の中、彼のことでいっぱいになっちゃって。ほかのことなんか手につかなくて。とっても幸せで、でもとっても不安で、こんなふうな自分をどうしたらいいかわからなくて…」

ランの気持ちがよくわかる。

私だって、RYOさんのこと好きで好きでたまらないもの。

彼のためなら、なんだってできる。

そんなランの思いが痛いほど伝わってくる。


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