【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「そしたらね、ある日、麻生君からメールが届いたの。ありえないでしょ。どうして私のメアドがわかったんだろう」

それはたぶん、私の携帯から盗んだに違いない。

いくらでもチャンスはあった。

「きっと私の思いが通じたんだ。奇跡だなんて嬉しくなっちゃって、私舞い上がっちゃったの。あんなに遠くにいた麻生くんがなんだか近くに感じて嬉しかった」

ランの声がうわずる。

彼女のドキドキが伝わってきた。

「だからね、私、この奇跡を逃がしたくなかったの。麻生くんはもしかしたらアヤの従姉妹である私だから近づいたんだってそれくらいわかってた。でも、それでもいいの。利用されるだけでも、なんだって。それよりも、私は麻生くんの近くにいたかった。それだけでいいって思ってた」
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