【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「私、私…。怖かった、怖かったよ…」

ランは私にしがみついていた。

爪が背中に食い込む。

けれど、痛みは感じなかった。



痛いのは心だけ。



罪深い自分自身を呪うことしか私にはできないから。



だからせめて、ランの涙が止まるまではこうしていたい。


私はランの背中を何度も撫でた。




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