【完】大人の世界~甘美な毒に魅せられて~
「さっき手首を切ったのは、もう一人の僕が君を襲おうとしたから。そうでもしないと、きっと僕は沢木さんをめちゃめちゃにしてしまうから…」
「ちょっと待って。意味がわからない。どういうことなの?」
彼を追い詰めてはいけないとわかってはいた。
けれど、麻生くんの言葉は謎をさらに深めるばかりで、私にはなにも見えてこない。
「僕は、普通に人を好きになりたかった。あの人みたいになりたくないんだ。でも、でも…。僕の体の中にはあいつの血が流れていて、その血が僕を狂わせる」
麻生君はゆっくりと私から体を離した。
そしてふらふらと立ち上がり、出窓に腰を下ろす。
「君はあの頃の僕と一緒だから…。だから、他の誰かに汚されたくなかったんだ」
「RYOさんのことを言ってるのね」
「ああそうだよ。僕はあいつに君が惹かれていくのがゆるせなかった。だから、君に近づいた」
「でも、どうして? どうして、RYOさんに惹かれているってわかったの?」
「ちょっと待って。意味がわからない。どういうことなの?」
彼を追い詰めてはいけないとわかってはいた。
けれど、麻生くんの言葉は謎をさらに深めるばかりで、私にはなにも見えてこない。
「僕は、普通に人を好きになりたかった。あの人みたいになりたくないんだ。でも、でも…。僕の体の中にはあいつの血が流れていて、その血が僕を狂わせる」
麻生君はゆっくりと私から体を離した。
そしてふらふらと立ち上がり、出窓に腰を下ろす。
「君はあの頃の僕と一緒だから…。だから、他の誰かに汚されたくなかったんだ」
「RYOさんのことを言ってるのね」
「ああそうだよ。僕はあいつに君が惹かれていくのがゆるせなかった。だから、君に近づいた」
「でも、どうして? どうして、RYOさんに惹かれているってわかったの?」